・一般の外来患者さんとは別の入り口、通路を通って受付をし、予防接種・健診専用の待合室を利用してもらいます。
・病気の予防のために予防接種を受けることは大切です。定期接種の予防接種は無料です。自費で受ける予防接種の料金は、待合室に掲示しています。
・市や町が発行する予防接種券と母子手帳をご持参ください。
1) 当院は、予防接種・健診で来られた子どもさんと、一般の患者さんとが接触しない構造にしています。
2)今日、多くのお母様方が仕事に就かれていることや、小中学生は早い時間帯には来院できないこと等に配慮して、予防接種専用の時間帯を定めていません。
3)原則 予約制にもしていません。しかし、あらかじめ電話をいただいた方には、予約を承っております。外来がすいている曜日、時間帯をお勧めしています。
**現在、新型コロナウイルスに対応した発熱外来の時間を設定しています。予防接種で来られるときも、なるべく予約をして、その時間においでください。
4)予防接種で来られた子どもさんは、優先的に診ます。
5)夕方5時までに来院していただければ、ワクチン接種は可能です。遅い時間帯に来られる場合は、事前にご連絡ください。
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予防接種・健診の子どもさん専用の入口、受付、通路 | 予防接種・健診専用の待合室(第2待合室) |
<予約なしで受けられるワクチン> | <予約が必要なワクチン> |
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・BCGワクチン ・麻疹・風疹混合ワクチン ・おたふくかぜワクチン ・水ぼうそうワクチン ・2種混合ワクチン(DT)ワクチン ・日本脳炎ワクチン ・肺炎球菌ワクチン ・Hib(ヒブ)ワクチン ・4種混合(DPT+不活化ポリオ)ワクチン ・B型肝炎ワクチン ・ロタウイルス胃腸炎予防ワクチン |
・インフルエンザワクチン ・麻疹単独ワクチン ・風疹単独ワクチン ・子宮頸がん予防ワクチン ・不活化ポリオワクチン |
重い腸炎を起こすロタウイルス。その感染症を防ごうと開発されたのがこのワクチンです。現在のところ、定期接種の予防接種になってないので、自己負担となっています。
当院に来るワクチン関連会社の担当者の話では、ロタウイルスワクチンの接種率は全国ではすでに70%程度になっています。公費助成をしている自治体も全国で300くらいになっているようです。愛媛県でも、出生数とこのワクチンの出荷本数から推定すると、50%を超える接種率になっているそうです。
しかし、この地域の接種率はおそらく30%程度、高くても40%くらいです。地域ごとに経済や所得状況に差があるので、一概に悪いとは言えません。かなり効果的なワクチンであることは間違いありません。
今月に入り、沖縄で麻疹(はしか)が広がっています。感染源は台湾からの旅行客でした。麻疹患者のワクチン接種歴は「ない」あるいは1回、あとはワクチンを受けた記憶がない「不明」でした。
日本では2015年3月に、麻疹の「排除宣言」をしました。麻疹ウイルスの中で土着株は排除されていますが、海外から持ち込まれた型の麻疹ウイルスの検出報告数が増えています。昨年はインドネシアからの帰国者が山形県で発症し、その後県外にも広がり50人超の感染者が出ました。麻疹には有効な治療法はありません。ワクチンで予防することが最も効果的です。
海外からの旅行者や帰国者が持ち込む可能性がある病気は麻疹だけではありません。今の時代、各種予防接種を受けておくことはとても大事です。
1973年にオーストラリアで発見されたロタウイルスは、今や、乳幼児の重い胃腸炎の最も重要な原因になっており、ワクチンによる予防が推奨されています。ロタウイルスワクチンは、米国、オーストラリア、英国など世界80か国で定期接種化されています。英国では、ロタウイルス胃腸炎の数が77%減少したという報告がなされています。
一方、日本では、ロタウイルスワクチンはいまだに任意接種(自己負担)のままですが、このワクチンの接種率が昨年、全国では約60%まで上がってきました。ここ南予地方での接種率はまだ低いです。ロタウイルス胃腸炎は、例年、3月くらいから流行してきます。
実際に病気の子どもを診察する小児科医からみると、ノロウイルスとロタウイルスでは病気の重さが全然違います。ロタウイルス胃腸炎の方がよりひどいです。しかし、乳児期早期のロタウイルスワクチンの接種によって、この病気は減少してきました。一方、今のところ、ワクチンのないノロウイルス胃腸炎の減少はみられていません。
ご存じの方があまりおられないようですが、風疹の抗体検査が無料で受けられます。成人の風疹の予防、児の先天性風疹症候群の発症予防が目的です。対象は、妊娠を希望する女性、妊娠を希望する女性の配偶者、風疹抗体価の低い妊婦の配偶者です。期間は来年の3月31日までです。当地域での申し込み、問い合わせ先は八幡浜保健所です。
厚生労働省の専門家会議は、B型肝炎ワクチンを定期接種化し、0歳児に3回接種することが望ましいとする見解をまとめました。実施時期はまだ決まっていません。世界保健機関(WHO)は全乳幼児のB型肝炎ワクチンの接種を勧めており、すでに世界で約180か国でこのワクチンの定期接種が行われています。先進国のわが国でしていないのが不思議なくらいです。
10月から水痘(水ぼうそう)ワクチンが定期接種化されました。接種年齢は1歳以上3歳未満で、3か月以上あけて2回接種することになっています。標準的な接種の仕方は、生後12月(1歳0か月)から15月(1歳3か月)までに初回の接種を行い、追加接種は初回接種後6か月から12か月の間隔をおいて1回行います。
平成26年度に限り、3歳以上5歳未満の子どもも、経過措置として1回の接種が受けられることになっています。すでに水ぼうそうにかかった子は、このワクチンの接種対象とはなりません。
Hib(ヒブ)も肺炎球菌もどこにでもいるありふれた菌です。小さな子どもは誰でも感染する可能性があります。とくに、小さいうちから保育所に入り集団生活をする子どもさんでは、高い頻度で感染します。これらの菌による重い病気の多くは0歳〜2歳にかかっています。近年、これらの菌では抗菌薬(抗生物質)の効かない耐性菌が増えています。乳児期早期からワクチンを受ける理由の一つは、「治療が難しくなってくるから、かかる前にワクチンで予防する」ことです。
Hib・肺炎球菌ワクチンは、子どもの命にかかわる重い病気を予防します。ここでいう重い病気とは、細菌性髄膜炎、菌血症、肺炎などをさします。それ以外にも、これらの菌では中耳炎、副鼻腔炎、骨髄炎、関節炎を起こします。米国では、すでに2000年から肺炎球菌ワクチンを定期接種にしており、重い病気が98%も減少しました。
細菌性髄膜炎は最も恐ろしい病気です。診断がつきにくく、治療が難しく、かかると3人に1人が死亡か重い後遺症(水頭症、発達の遅れ、聴力障害、知的障害)を残します。日本での細菌性髄膜炎の原因菌の80から90%がHibと肺炎球菌です。これら2つのワクチンで防げる病気です。細菌性髄膜炎の発症の多くは5歳未満で、0歳児が半数を占めます。これが二つ目の理由になります。
以上、生後2か月からHib・肺炎球菌ワクチンを接種して、病気にかからないように予防することが大切です。
予防接種について議論する厚生労働省の有識者検討会は、開発優先度の高いワクチンとして6種類を選定しました。乳児期早期に感染すると重い肺炎、細気管支炎を引き起こす危険性のあるRSウイルスや、ノロウイルスのワクチンを世界に先駆けて開発することをめざします。さらに、国内の生産基盤も強化していくようです。MR(はしか風疹混合)に水痘を加えたワクチン、DPT(ジフテリア、百日咳、破傷風)に不活化ポリオなど複数を加えたもの、インフルエンザの改良ワクチン、帯状疱疹ワクチンも開発優先度の高いワクチンに選ばれました。
風疹の患者は昨年の後半から増え始め、今年に入ってからの患者数は、6月までの半年間で全国で1万人を越えました。患者の8割は男性で、20〜40歳代が主です。この世代、とくに30代半ばより上の男性は風疹の予防接種を受けている人がほとんどおらず、また風疹そのものにかかっていないため、抗体を持っていません。このため、風疹患者と接触すれば容易にかかってしまいます。今の風疹流行の主たる原因はここにあります。
一方、この世代の女性は、本来であれば風疹の予防接種を受けている世代です。しかし、何らかの理由で予防接種を受けていなかったり、ワクチンをしていても抗体ができていなかったりして、風疹にかかった方がいます。
妊婦が風疹にかかり胎児に重い障害が出る先天性風疹症候群は、今回の流行が始まってから12例が報告されています。このような悲劇が繰りかえし起こらないように、抗体のない人は世代、性に関係なく、風疹ワクチンを受けるべきと考えます。
厚労省が、「一時的に子宮頸がんワクチンの積極的な勧奨を差し控える」と発表しました。今年4月に無料で受けられる定期接種になったばかりでした。ワクチン接種後に、体の痛みや歩行障害が長期間続く例が出ていることが問題となりました。定期接種としての位置づけはそのままとし、一方では積極的には接種を勧めないという今回の措置は、保護者や医療現場に混乱を起こすものと考えられます。
このワクチンは、すでに世界100か国以上で接種されています。そして、日本では、年間9,000人の女性が子宮頸がんにかかり(20、30歳代のがんでは乳がんに次いで第2位)、2,700人もの方が亡くなっているという事実があります(「子宮頸がん予防ワクチンの接種を受ける皆様へ」
厚労省 平成25年6月版から)。さらに、このデータに上皮内がんを含めると、年間罹患数は20,000人になり、20、30歳代の女性のがんでは第1位となります。また、死亡者数についても、子宮頸ガンか、子宮体ガンか不明の子宮がん死亡数を、それぞれの比から案分すると、約3,500例の子宮頸がんによる死亡があると推定されています。このことは、医療の進んだわが国でも、1日に10人の女性がこの病気で亡くなっている計算になります。
例年、この地域では春先からロタウイルスによる感染性胃腸炎が流行します。乳幼児がかかった際の重症化を防ぐためには、ロタウイルスワクチンが有効とされています。現在、このワクチンは、世界の107か国で承認され、28か国で定期接種になっています。日本では、平成25年3月5日現在、40の自治体(市、町)で公費助成による接種が行われていますが、その他多くの自治体では助成がなく自己負担となっています。
わが国では、小児を対象にした定期接種化されたワクチンの種類は、他の先進国と比較すると随分少なく、このことを“ワクチン・ギャップ問題”として、何年も前から専門家の間ではしばしば議論されていました。
WHOの資料では、2010年の時点のでHibワクチンを定期接種にしている国は、国連加盟国193か国中166か国に達し、日本は定期接種化の予定のないわずか18か国の中に含まれていました。今現在、定期接種化されていないのは、内戦が続いているようなアフリカの一部の国を除けば、北朝鮮だけです。同様に、B型肝炎ワクチンを定期接種にしている国は、2010年段階で179か国あり、日本は残り14の非定期接種国の中に今なお入っています。
日本では、この4月からやっと、このHibワクチンをはじめ、肺炎球菌ワクチン、子宮頸がん予防ワクチンが定期接種ワクチンに加えられることになりました。
ポリオはポリオウイルスが中枢神経に感染して手足の麻痺(まひ)などを起こす怖い病気です。小児麻痺と呼ばれていました。これまでの生ワクチンを2回飲む方法で、日本では1980年を最後に自然感染でポリオにかかった人はいませんでした。しかし、生ワクチンを受けた後で麻痺が発症する事例が続いていました。
平成24年9月1日から不活化ポリオワクチンを用いたポリオ予防接種が開始されました。当院では、10月10日の時点で、延べ約300人に接種しました。開始当初は、例によって(新しいワクチンが始まる時はほとんど常に)ワクチンの入手が困難な時期がありましたが、今はそういう状況ではなくなりました。予約は必要ありません。
子宮頸がんは、女性のがんとしては乳がんに次ぐ頻度の高いがんです。20代、30代の女性においては、すべてのがんの中で罹患率が第1位となっております。しかも、近年増加傾向にあります。
子宮頸がんは、ヒトパピローマウイルス (HPV)というウイルスの感染によって発症することが知られています。このHPVに感染している可能性が低い若い年齢でのワクチン接種が、子宮頸がんの発症予防に効果的と考えられています。
平成23年7月20日から、中学1年生から高校2年生相当年齢の女子全員に対してこのワクチンが受けれるようになりました。現行の制度は、平成24年4月1日から平成25年3月31日まで1年間延長されることになりました。
*子宮頸がんワクチン接種後の失神について
2007年の全国的な麻疹の流行を受け、今日では麻疹ワクチンは1歳と就学前の2回接種するようになっています。(アメリカなど他の先進国ではもっと以前から2回接種をしていました。)
本邦で2回接種が決定された時点で、小学生以上の年齢になっていた子どもについては、国は第3期(中学1年生)、第4期(高校3年生)の定期接種として各児童・生徒に2回接種の機会をつくってきました。この3期、4期の定期接種は今年度が最後の年度となります。
昨年4月1日から12月31日までの日本全体の麻疹ワクチン接種率は、2期が72.3%、3期が71.9%、4期が62.5 %となっています。麻疹ワクチンを定期接種にしている国の中で、日本ほど接種率の低い国はあまりありません。麻疹はかかると重い病気です。ワクチンを子どもに受けさせていない保護者ほど、実際にその病気にかかると騒ぎます。今の日本で麻疹排除に必要とされる接種率は95%以上です。
ロタウイルス胃腸炎予防ワクチンを希望される方はお申し出ください。このワクチンはシロップ状にした飲む生ワクチンです。接種対象は生後6週から24週までの乳児です。この間に、少なくとも4週間の間隔をおいて2回接種します。なお、初回接種は生後14週6日までに行うことが推奨されています。
ロタウイルス胃腸炎は冬から春にかけて流行する感染性胃腸炎のひとつで、その中でも最もひどくなりやすい病気です。とくに乳児がかかると、重い脱水、脳炎・脳症、腎不全をきたすことがあります。
小児の細菌性髄膜炎、菌血症などの重症感染症を予防するために開発されたワクチンです。ヒブ(Hib)とは、ヘモフィルス・インフルエンザ菌 b型の略称です。ウイルスのインフルエンザとは全く関係ありません。ヒブや肺炎球菌は先に述べた病気以外に、肺炎や中耳炎の原因になる菌です。小児の細菌感染症の大部分がこの2つの菌で起こります。
ヒブワクチンは世界のほとんどの国で定期接種になっています。肺炎球菌ワクチンも世界100カ国以上で接種されており、40カ国で定期接種になっています。両ワクチンともに、生後2カ月から接種できます。
とても有意義なワクチンです。とくに乳児では最優先すべき予防接種です。当初、日本のマスコミで騒がれましたが、ワクチンの同時接種は世界の常識となっています。
世界の先進国の中で、このワクチンが定期接種になっていない国は日本だけです。多くの保護者の方が、「耳の下が腫れて痛がる病気」程度に考えているようですが、たくさんのおたふくかぜの患者を診る小児科医はそんなに甘い認識ではありません。無菌性髄膜炎、睾丸炎、膵炎、難聴などの合併症が起こることがあります。当院でも経験しております。
おたふくかぜに直接効く薬はありません。解熱鎮痛薬による対症療法だけです。耳下腺が腫れている間、子どもは痛がります。高い熱が出ることも多いです。学校、幼稚園、保育園は出席停止になります。
同じ施設内でおたふくかぜが流行していて、自分の子がワクチンをうってなければ、この病気にかかるのは当然のことと言えます。平成24年にもなったこのご時世、おたふくかぜに限らず予防できる病気は予防していくという考え方が育ってほしいものです。
注:このコーナーでは、いらなくなった記事は消していっております。古い記事でも必要と思われるものは残しています。
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